めまいとは
「めまい」は、体のバランスを保つ機能の障害のこと
「めまい」とは、動いていないのに
動いているように感じる感覚
「めまい」は自分が動いていないのに動いているように感じる、または自分の周辺が動いているように感じる感覚のことをさします。
例えば遊園地のコーヒーカップに乗ったあとに起こる目が回るような感覚、飲酒後に足がふらふらとするような感じ、この様な症状が病的に現れるようでしたら「めまい」を疑います。
「めまい」の症状を感じたときにまず、内科や脳神経外科などに受診される方が多いのではないでしょうか?
そして内科や脳神経外科等で検査したけれど異常は見つからなかったという方が当院へ診察に来られるというケースが多いのです。
「めまい」の原因70~80%は「耳」によるもの
「めまい」の70~80%は「耳」に原因があることが多いです。
実は、「耳」には「聞く」機能と「体のバランスを保つ」機能の2種類があります。
この2種類の機能のうち「体のバランスを保つ」機能に障害がおこると「めまい」を発生します。
「めまい」の代表的な原因は3つ
①『耳』に原因がある | ②『脳』に原因がある | ③『全身的』に原因がある |
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・メニエール病 ・良性発作性頭位めまい症 ・前庭神経炎 ・めまいを伴う突発性難聴 など |
・脳梗塞 ・脳出血 ・脳底動脈循環不全症 ・脊髄小脳変性症 ・聴神経腫瘍 ・小脳腫瘍 など |
・不整脈 ・血圧 ・貧血 ・心因性 ・自律神経失調症 ・更年期障害 など |
そのほかの原因としては「脳」に原因があるもの、血圧、貧血、不整脈などの内科的病気、更年期障害、ストレスなどによる自律神経失調症、心因性が原因のめまいなどがあります。
「めまい」がした時の症状は、吐き気・嘔吐・冷や汗など様々
耳が原因の「めまい」で代表的なものとして「メニエール病」と「良性発作性頭位めまい症」の2つがあげられます。
「メニエール病」も「良性発作性頭位めまい症」も内耳と呼ばれる部分に障害が発生し、めまいの症状をおこします。
「メニエール病」は内耳部分に内リンパ液が増えてむくむことにより発症します。個人差はありますが、ぐるぐるとまわるめまいが持続する、吐き気、嘔吐などの症状がみられます。典型的な「メニエール病」の場合は難聴、耳鳴り、耳のつまり感といった音を聞く機能の症状も伴います。
「良性発作性頭位めまい症」の場合は、内耳にある耳石と呼ばれる頭や体の傾きを察知する部分に障害が発生して、頭の位置を変えたり、動かしたりするとめまいがおこります。
「めまい」は感覚的な病気です。そのため感じ方には個人差があり、表現も様々です。
よく使われるめまいの表現には以下があります。
- グルグルまわる
- フラフラする
- グラグラする
- フワフワする
- 立ちくらみ
- 目の前が暗くなる
- 血の気が引くような感じ
- 歩く時にふらつく
この他にも、聞こえない・耳鳴り・耳がつまるような感じ・周囲の音の響く感じというように「めまい」以外の耳の症状を伴うこともあります。
吐き気や嘔吐、冷や汗、顔面蒼白などの自律神経系の症状を伴うことも少なくありません。
自律神経症状は、めまいの発作時に強く出る傾向があるためとてもつらいのです。
また、特に気を付けたい症状があります。
上図のような手足がしびれる・力が入らない、ろれつがまわらない、物が二重に見える、激しい頭痛症状を伴うときは「脳」の病気の疑いが強いので、早急に専門医の治療が必要です。
「めまい」の検査
問診
「めまい」の診察検査で最も重要なものが問診です。
いつ・どのようなめまいか・めまいがおきた時間・繰り返しおこるのか・難聴や耳鳴りなどの症状はあるのか・神経症状はあるのか・・・etc.また、生活習慣や既往歴なども併せてうかがっています。
めまいという病気は、レントゲンやCT、血液検査などでは異常がない場合も多く、患者様の症状の1つ1つを詳細に伺いながら総合的に診察を行います。
そのため診察に時間がかかりますが、この問診がとても重要な手がかりとなります。
眼振(がんしん)の検査
「めまい」がおこるときには、眼の動きにそのサインが現れます。その目の揺れのことを眼振(がんしん)と言います。
特殊なメガネをかけてもらい目の揺れがないかを観察したり、装置を使用して眼振を記録したりする検査を行います。
体のふらつきを見る検査
「めまい」がおこっているときは、フラフラ歩く、一方向に傾いて歩いてしまうなどの体のバランスが乱れる状態があらわれ、それらのバランスを見る検査となります。
眼を開けているとき、眼を閉じているときのからだのふらつきの状態を機器によって記録します。
足踏みをしてもらったり、まっすぐ歩いてもらったりすることによって体の偏倚傾向(左右どちらかにかたよるかどうか)をみます。
聞こえ(聴力)の検査
「めまい」の70~80%は耳に原因があることが多いため、耳の検査の1つとして聴力検査を行います。
内耳と呼ばれている部分は聴覚の役目を果たす蝸牛(かぎゅう)と平衡感覚を保つのに必要な三半規管などから構成されています。
これらは密接に関係しており難聴などの病気がある場合は「めまい」が起こりやすくなるのです。
画像検査
症状によっては耳のレントゲン、CT、MRIなどの画像検査が必要な場合もあります。
当クリニックでは、検査設備がないため行えませんが必要な場合は、症状に併せて周辺医療機関へ随時紹介を行っております。
「めまい」の予防には生活環境の改善も有効
「めまい」はストレス、寝不足、疲労などがきっかけとなって引き起こされることがあります。
日常生活において誘発原因を取り除く工夫も大切です。
天気が悪いとき、季節の変わり目などでも「めまい」が起きやすいことが知られていますので、これらの時期の体調管理も重要となります。
「メニエール病」の方は、耳鳴りや聞こえづらい、耳がつまるなどの自覚症状があらわれたときは、「めまい」の前兆という可能性があります。
常に「めまい」のことを考えてばかりいることもストレスの原因となり、さらに「めまい」を引き起こす誘因となるため適度な気分転換と息抜きで上手に日常生活を送りましょう。
「めまい」の治療方法、基本は内服薬
「めまい」の治療方法は薬物療法が基本です。
抗めまい薬・血液循環改善薬・自律神経調整薬・精神安定薬・吐き気止め・利尿薬、副腎皮質ホルモン薬、ビタミン剤などの内服薬を使用してめまいの状況や頻度などに合わせて治療をしていきます。急性期には吐き気止めや精神安定薬などを含めた点滴を行い様子を見る場合もあります。
「良性発作性頭位めまい症」の場合は、寝たり起きたり・左右への寝返り・頭を上下に動かすなどの運動療法も併せて行っていきます。
良性発作性頭位めまい症慢性的に続くめまいやふらつきといった場合には、積極的に体を動かすなど、もともと備わっている身体のバランスを保つ働きを高めるための平衡機能のリハビリテーションも有効です。
予防の章でもお話しましたが、「めまい」は心因的な影響を受けやすかったり、精神的な病気が原因になったりすることがあります。
精神面での治療が必要な際には状況に合わせて心療内科、精神科へ受診していただくこともあります。
「めまい」をおこしたら、楽な姿勢で静かに休む
「めまい」がおきてしまったら第一に楽な姿勢で安静にしてください。
横になっても、壁にもたれかかっても、椅子に座っても、自分が一番楽な姿勢でいることが重要です。
突然のめまいは、不安になりますが、ひとまず落ち着いて動き回らないことが大切です。
吐き気止め・安定剤などの処方薬がある場合には内服できる状態であればお薬を飲み様子を見てください。
本人だけでなく周囲の人達も不安になり車で病院に向かおうと思いますが、反対に車に揺られることで気分が悪くなり症状がひどくなる場合もあるので症状の軽減が見られるまで様子を見ることを、おすすめします。
ただし、第3章で解説したように以下の症状がみられる場合は、早急に脳の検査ができる神経内科、脳外科がある病院への受診をおすすめします。